フードロスを考える「シブヤもったいないマーケット」が初開催

2017.10.16 食

渋谷区清掃リサイクル課は10月14日、「シブヤもったいないマーケット」を渋谷区役所仮庁舎で初開催した。日本では年間621万トンの食べられる食品が捨てられているなかで、フードロス(食品廃棄物)の現状についてより広く知ってもらうことが目的だ。ワタミファーム&エナジーも協力事業者として出展し、有機栽培した冬瓜(とうがん)を使って「重さ当てゲーム」などを行った。

有機栽培された冬瓜の重さ当てゲームを楽しむ親子

有機栽培された冬瓜の「重さ当てゲーム」を楽しむ親子

日本のフードロス年間2775万トンのうち、621万トンがまだ食べられる状態で捨てられている。渋谷区内でも家庭ごみのうち未利用食品は3.2%に上り、1日に2.7トンが捨てられているという。

シブヤもったいないマーケットは、フードロスの現状を伝え、渋谷区内の事業者や住民が一体となってフードロスに取り組む機運を高めるため、今年初めて開催された。

ワタミファーム&エナジーはグループが外食事業を手懸けることから趣旨に賛同し、ワタミグループが支援する公益法人の一つで、食品廃棄物のリサイクル推進や森林の再生保全に取り組む(公財)Save Earth Foundation (SEF)と共同して出展を決めた。ワタミグループは、工場から出された食品廃棄物を土づくりセンターでたい肥化するなど、フードロスに取り組んでいる。

ブースでは、ワタミファーム(千葉県山武市)で栽培した冬瓜を使った「重さ当てクイズ」が行われ、参加した親子らは楽しそうに冬瓜の重さを予想していた。いくつか並んだ冬瓜から一つを選び、その重さを当てると冬瓜がもらえる仕組みで、ニアピン賞にはワタミファームの千葉県山武農場で栽培された有機のキャロット&オレンジジュースかさつまいもが配られた。

■乾パンをチョコタルトに

シブヤもったいないマーケットでは、フードロス映画「0円キッチン」の上映会のほか、エコクッキングデモンストレーションも行われた。エコクッキングでは、東京・青山にあるオーガニックレストランnavarre(ナヴァー)の森敏シェフが災害用備蓄の乾パンを使ったチョコレートタルトづくりを行った。

トークセッションでは渋谷区のフードロス対策について議論された

トークセッションでは渋谷区のフードロス対策について議論された

長谷部健渋谷区長も参加したフードロスディスカッションでは、どうすればフードロスがなくなるのかなどについて議論した。

渋谷区は、フードロスを減らす取り組みとしてフードドライブ活動を実施している。家庭で余っている食品などを持ち寄り、それらをまとめて福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する取り組みだ。

パタゴニアの辻井隆行日本支社長は「メインストリームの行動変容は欠かせない。人はそれぞれ興味関心があり、意識が高い層は2割程度で、全員が変わることは難しい。だからこそ、無意識であってもいつの間にか巻き込まれているような仕組み化が必要ではないか」と投げかけた。

ナヴァーの森シェフは「店を構えるということは、まちづくりを担うということ。飲食店も家庭も、食品を残そうと思って残しているわけではない。無意識の行動をどう変化させていくか。渋谷区全体のゴミを減らす渋谷独自の食の循環が生まれれば」と展望を語った。

長谷部区長は「フードロスの問題はシステムまで踏み込む必要があると考えている。渋谷区のスローガンは『YOU MAKE SHIBUYA』。フードロス対策でも渋谷スタイルを確立していきたい」と話した。


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