10種以上の有機野菜を収穫、株主向けファームツアー

2016.11.22 農

ワタミ株式会社は11月12日、株主向けのワタミファームツアーを開催した。株主やその家族ら36人が参加し、千葉県・山武(さんぶ)農場で有機のニンジンや生姜、春菊など10種以上の野菜を収穫した。有限会社ワタミファームは全国12カ所で有機農業を展開し、外食店舗では使用する野菜の約半分を有機野菜が占めるなど、ワタミグループ全体で有機農業の推進に取り組んでいる。

サツマイモ掘りに挑戦した兄弟

サツマイモ掘りに挑戦した兄弟

「こんなに大きいサツマイモが採れた!」。兄と一緒にサツマイモを収穫した年長の男の子は、嬉しそうに母親に自慢する。兄弟は、「あ、虫がいる」と驚くが、ワタミファーム&エナジーの男性スタッフは、「農薬を使わないので、有機栽培に虫は付きものなんだよ」と語りかける。

今回のワタミファームツアーは、株主向けのイベントで、有機農業の取り組みについて広く知ってほしいとの思いから企画されている。参加者は4班に分かれ、サツマイモやニンジン、生姜、葉物野菜など、順に巡り、思い思いに好きな分だけ収穫していく。

栃木県日光市から参加した男性は、段ボール2箱分を野菜でいっぱいにし、「生姜は酒の肴にする予定。食べるのが楽しみ」と嬉しそうだ。

■自然の恵みを生かす有機農業

「日本は森林や水、自然が豊かなのに、農薬や化学肥料に頼っている。その農薬や肥料の多くは海外から輸入している。日本人の寿命が延びた分、『健康寿命』も大切だ。安全でおいしく、資源を生かす有機農業は日本を救うのではないか」。こう話すのは、ワタミファーム&エナジー株式会社社長の小出浩平だ。

ワタミグループは1998年、契約栽培による特別栽培農産物の導入を始め、2002年に有機農業の普及を目指して有限会社ワタミファームを設立した。土づくりセンターでは野菜くずのたい肥化にも取り組み、資源を循環させる「有機循環型モデルタウン」を目指している。

ワタミの外食店舗で働いた後、約2年前に有限会社ワタミファームに異動した酒井大志は、「イモ類には、線虫と呼ばれる土壌中の虫が付く。たくさんの虫を見るたび、有機の難しさを感じる。安定的な供給力や規格など、市場ニーズに合わせるための課題もある」と語る。一方で、「将来、自分の子どもにはやっぱり有機の野菜を食べさせたい。有機農産物が健康にも環境にも良いのは間違いない」と力強い。

■  新鮮でおいしい有機野菜

色とりどりの有機野菜のピクルス

色とりどりの有機野菜のピクルス

「野菜とニンジンドレッシングがおいしい!」。普段はあまり好んで野菜を食べないという男の子は、ベビーリーフのサラダをおかわりした。

ワタミファームツアーのランチでは、サラダのほか、カブやニンジンのピクルス、生姜を混ぜ込んだ玄米おにぎり、カレー、けんちん汁などが提供された。野菜はすべて有機栽培だ。参加者たちは「野菜が新鮮でおいしい」と口をそろえる。2007年に国内初の有機JAS認証を取得した北海道瀬棚農場でつくられたアイスクリームも「さっぱりしておいしい」と評判だ。

千葉県にある3農場を統括する農場長の岡田拓也

千葉県にある3農場を統括する農場長の岡田拓也

「ファームツアーは、生産者にとっても、消費者とつながれる良い機会。自分の言葉で直接伝えることができる」。千葉県にある3農場を統括する農場長の岡田拓也は12年前、当時の社長に直談判して有限会社ワタミファームに異動したという。岡田は「循環型社会の一部に有機農業がある。有機農業は、数年単位の持続可能性ではなく、50年、100年先を見据えた永続的な取り組み。たくさんの人にこうした活動を知ってもらいたい」と意気込む。


社会との関わりや、人や社会、地球を元気にする取り組みなどを紹介します。