障がいの有無にかかわらず、「外食の楽しさ」を届けたい

2016.11.02 社会

「和民」渋谷センター街店(東京・渋谷)は10月19日、就労継続支援 B型事業などを行う事業施設「ワークささはた」(東京・渋谷)から利用者や職員24人を招き、食事会を開いた。障がいの有無にかかわらず、外食を楽しんでほしいとの思いから、ワタミグループが15年以上前から続けている取り組みの一つだ。ワタミグループは、法定雇用率を上回る3.96%(在籍者数244人)を達成するなど、障がい者雇用にも力を入れている。

「ワークささはた」からのゲストを迎えるワタミ社員ら

「いらっしゃいませ!」。渋谷エリアから集まったワタミ社員22人は、ワークささはたからのゲストを笑顔で迎えた。普段は17時からの営業だが、この日はランチタイムに特別にオープンした。

「メニューにあるもの何でも作ります。一生懸命作るので、好きなものをオーダーして楽しんでいってください」。渋谷センター街の横田真吾店長は笑顔で呼びかける。

■普段通りのおもてなしを

目の前でしめサバをバーナーであぶる

「障がいがあると、どうしても外食する機会が限られてしまうことがあります。和民での食事会は、毎年利用者が楽しみにしている恒例の行事」。こう話すのは、ワークささはた職業指導員の斉藤主計さんだ。

ワタミグループは1999年から、障がいを持つ人たちを店舗に招待し、食事会を開催している。もともとは、当時、ボランティア研修に参加した一人の新入社員が、「目の不自由な子どもたちのために点字メニューをつくり、店舗で楽しい思い出をつくってほしい」と提案したことから始まった。今年も全国で24回債、約600人の施設の方をご招待する予定だ。 食事会では、サラダやだし巻き玉子といった定番メニューや自慢のから揚げなど11品が出された。なかでも餃子は人気で、おかわりも出たほどだった。

和民・わたみん家営業部の櫛間俊晴エリアマネージャーは、「身体障がいの場合、ハード面での配慮は必要だが、障がいがあってもなくても、おもてなしは同じ。自分で好きなものを頼んで食べるという外食の楽しさを味わってもらえたら」と話す。

一緒に食事をしながら、利用者や職員と好きな食べ物や普段の生活などについて話した

ワタミグループでは年に1回、全社員がボランティアに参加することを目標にしている。当日の食事会では、ワタミ社員も各テーブルに付き、料理を取り分けたり、好きなアニメや食べ物の話などをしたりした。発話障がいがある男性も、カードを使いながらにこにこと会話する。

■「無遅刻・無欠勤」で表彰も

ワークささはた出身で、2013年から渋谷センター街店で働くのが小笹進さんだ。無遅刻・無欠勤が評価され、今年、人事部から表彰を受けた。斉藤さんは「小笹さんが活躍している姿を実際に見て、みんな元気をもらえた」と嬉しそうだ。

ワタミグループは障がい者雇用に力を入れ、法定雇用率を上回る3.96%(在籍者数244人)を達成している。だが、法定雇用率を満たしている企業は全体の5割以下に留まり、障がい者の就労には課題も残る。

斉藤さんは、「障がいの有無にかかわらず、働くことが生きがいにつながる。企業に就職していないからといって、働いていないわけではない。もっと多様な働き方があってもいいはず。できないと決めつけないで、工夫次第でできるようになることもある」と力を込めた。


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