規格外米使った日本酒
「獺祭 等外」に込められた思い
ワタミは今年4月から、「和民」、「坐・和民」、「わたみん家」の国内全店舗で、旭酒造の日本酒「獺祭 等外」の取り扱いを開始した。「獺祭 等外」は、これまで廃棄されていた酒米の生産時に出る「等外米」を使った日本酒で、品質管理の観点から販売店が少なかったが、旭酒造の理念に共感したワタミグループでの販売が始まった。
高級日本酒として知られる純米大吟醸「獺祭」は、山口県岩国市、緑深い山あいの獺越(おそごえ) に位置する酒蔵・旭酒造から生まれた。
日本酒の種類には細かな基準があり、3級以下(等級外)の酒米で醸造した場合は吟醸酒を名乗ることができない。「等外米」は生産の段階で、どうしても5~10%程度は出てしまうが、蔵元が買い取らないため廃棄されていた。
獺祭に使われているのは、「山田錦」。だが、この山田錦は全国的に不足しているという。
旭酒造の桜井博志社長は、「農家さんに山田錦の生産をお願いしていますが、それなのに『屑 米は引き取れません』では、農家だけにリスクを負わせてしまうことになります。その現状を変えたかった。農家が安心して生産できるよう、等外米を使った日本酒を作ろうと思い立ったのです」と経緯を語る。
醸造のためには等外米の粒をそろえる必要がある。そこで、欠けていたり、小さかったりする等外米を35%まで研磨した。フルーティですっきりとした甘みがあり、他の獺祭とそん色ない。精米歩合35%という割合は、純米大吟醸の基準(50%以下)よりも高いという。
こうして、「獺祭 等外」が誕生したが、製造の難しさだけでなく、他の獺祭に比べ劣化が早いため、一般店ではほとんど販売できずにいた。
だが、品質管理が保障できたことと、ワタミと旭酒造の「企業は社会に貢献してこそ」という理念が一致し、取扱いが決まった。
「色んな思いがこもっていますが、言いたいことはシンプルなんです。このお酒を、どうぞ楽しんでください。とっても美味しいですから、ぜひ飲んでみてください。それだけです!」(桜井社長)
ワタミグループは、事業活動を通じて社会課題の解決に取り組むとともに、「ソーシャルビジネス」に挑戦する社会起業家を応援しています。