ワタミの宅食 バイオプラ容器と食品ロスのリサイクル・ループを実現
2020.02.27 社会
「ワタミの宅食」は、宅食事業で利用したお弁当・お惣菜容器を回収し、再資源化する新たなリサイクルモデルを展開している。2019年5月に愛知県でスタートし、10月から岐阜県、三重県、福井県、石川県、富山県へ拡大、2020年1月から中国・四国地方でも開始した。これにより1日5万1000食分の容器(約1530㎏)がリサイクルされることになる。併せて、バイオマスプラスチック容器の導入も進め、1月に全エリアで石油原料由来の容器からバイオプラ容器への切り替えが完了した。これにより毎日約23万食、1年で約6100万食(約1830t)分の容器がバイオマスプラスチック容器となった。さらに、食品ロスを飼料化する仕組みを構築し、容器と食品ロスのリサイクル・ループ(資源循環)を実現した。
ワタミは、全国514カ所に宅食事業の営業所を置き、全国9カ所の工場でお弁当・お惣菜を製造している。それを約7500人の配達スタッフ「まごころさん」が毎日、約23万人の利用者に届けている。
ワタミのリサイクルモデルでは、お弁当・お惣菜をお届けする「まごころスタッフ」がお届け時に使用済みの容器を回収し、それを製造拠点である「手づくり厨房」に集約する。その後、協力企業が熱分解処理を行い、油・コークス・ガスへのケミカルリサイクルを実施。ケミカルリサイクルした油からお弁当・お惣菜の容器に再生している。
このリサイクルモデルは当初、愛知県津島市にお弁当・お惣菜製造の基幹工場「ワタミ手づくり厨房」中京センターがあることから、愛知県や名古屋市からの指導・助言を得て、中部エリアで実施することになった。
その後、対象エリアを拡大し、鳥取県、島根県、岡山県(備前市の一部エリアを除く)、広島県、山口県(下関の一部エリアを除く)、香川県、徳島県、愛媛県、高知県での実施が実現した。合計で毎日約5万1000食分の容器がリサイクルされている。
2022年3月を目標に全国展開を計画し、それが実現すれば年間約6100万食(約1830t)の容器がリサイクルされることになる。
こうした取り組みは、環境省から令和元年度の「プラスチック等のリサイクルプロセス構築・省CO2化に係る技術実証事業」として採択されたほか、日本バイオマス製品推進協議会の「第9回バイオマス製品普及推進功績賞」を受賞した。
■調理くずを飼料化し資源循環
さらにワタミの宅食では、食品ロスの削減にも積極的に取り組む。
弁当や惣菜をつくる過程で出た調理残さや野菜くずを飼料化し、その餌で育てた鶏の卵でできたマヨネーズを弁当や惣菜に使用する。この取り組みにより、「ワタミ手づくり厨房」中京センター(愛知県津島市)は、食品リサイクル法に基づく「食品リサイクル・ループ(再生利用事業計画)」に認定された。
同センターが出す食品残さの排出量は年144トン。それらを由来とした、中部有機リサイクル(愛知県名古屋市)が製造する飼料エコフィードが年28.8トン。サンエッグファーム(愛知県岡崎市)がその飼料を使用して育てた鶏の卵の生産量は年10トンに上る。
ワタミグループは食品とプラスチック容器の2種類のリサイクル・ループを推進し、循環型社会の形成を目指す。