ワタミの外食店舗「三代目 鳥メロ」笹塚店で再エネ導入
2019.08.20 社会
ワタミは7月から「三代目 鳥メロ」笹塚店で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えた。グループ会社であるワタミファーム&エナジーから、自社工場の太陽光パネルで発電した電気を購入する。店内にはポスターを設置したり、オリジナルのTシャツを着たりするなど、従業員や来店客に環境について考えるきっかけを提供している。
■常連客との会話の糸口にも
再エネ導入一号店になった「三代目 鳥メロ」笹塚店は、居食屋「和民」1号店として1992年にオープンした店舗だ。「笹塚観音通り商店街」の入り口近くに店を構え、17時に開店すると、地元の常連客らでにぎわう。
同店での再エネ導入が決まったのは、2019年4月。ワタミグループとして、SDGs(持続可能な開発目標)推進本部を立ち上げ、取り組みを本格化させるなかで、店舗での再エネ導入計画が進んだ。
笹塚店の榎並(※立立が旧字体で文字化けするため使用不可でした)亮太店長は「はじめは再生可能エネルギーについても、その意義についても知らなかった」と振り返る。
ワタミのグループミッション「地球人類の人間性向上のためのよりよい環境をつくり、よりよいきっかけを提供すること」に照らし合わせ、「再エネの導入はまさにワタミらしい取り組みだと理解できた」と話す。
「再エネ100%」と書かれたグリーンのTシャツを着ていると、常連客から「そのTシャツは何?」と声をかけられることもある。
「エネルギーに対して関心がある人は多いとは言えない。それでも会話するなかで、少しずつ興味を持ってくれているのを実感している。お店のメンバーも電気の消し忘れを意識するようになったり、自宅でもクーラーを使うときは温度を一度上げるようになったりした」(榎並店長)
榎並店長は「小さな行動の積み重ねが変化を生み出していく。『私だけはいいや』という気持ちではいけない。環境問題に取り組むことで、人としての成長につながるはず。まだまだ知らないことがたくさんあり、もっと勉強していきたい」と意欲的だ。
■2040年までに再エネ100%へ
ワタミグループは2018年3月にRE100(使用電力を100%再エネにすることを目指す国際イニシアチブ)に加盟。2040年までに100%再エネを目指し、中間目標として2035年までに事業活動の消費電力のうち50%を再エネにすることを表明している。
ワタミファーム&エナジー㈱は2012年3月より再エネの発電事業を手掛けてきたが、店舗での再エネ導入は、コストアップが課題だった。
ワタミファーム&エナジーエナジー事業本部電力事業ユニットの高橋雅彦部長は「SDGsへの取り組みを推進するなかで、経営管理本部が旗振り役となって、教育部や広報部などと連携しながら、全社的な取り組みとして進めることができた」と説明する。
今回切り替えた再エネは、東松山センター(食品工場)にある太陽光パネルで発電したFIT電気を非化石価値証書と紐づけすることで、環境価値が付随した再生可能エネルギーとして、ワタミファーム&エナジーから購入している。
ワタミファーム&エナジーの高橋部長は、「エネルギーの問題は、気候変動や生物多様性などさまざまな問題につながっている。『再生可能エネルギー』というより良い選択肢があるのであれば、選ばない理由はない。企業の責任として再エネを推進していければ」と意気込む。
今後は、再エネ100%を目指し、ほかの店舗や工場での導入を進めていく予定だ。