ごみゼロの日、渋谷で循環型ビジネス探る
2019.06.04 社会
「ごみゼロの日」の5月30日、企業や消費者、行政とともにサーキュラーエコノミー(循環型経済)に向けたビジネスのあり方を考えるイベント「530 conference 2019」が東京・渋谷で開かれた。当日は計20社・ブランドが参加。ワタミグループはワークショップにおいて、愛知県の宅食事業で実施する容器の再資源化や食品ロス削減などについて取り組みの実践を紹介し、参加者と活発な議論が行われた。
イベントにはスターバックスやメルカリ、サントリー、ワタミなどのほか、循環型経済に向けた取り組みを進めるベンチャー企業も参加した。主催したのは、環境・社会活動などに取り組む個人による有志のコミュニティ「530week実行委員会」だ。
「530week」は、2014年4月から行われる渋谷区内「キャットストリート」の清掃が活動の始まりだ。2018年からは活動拠点である渋谷を中心に、「ゼロウェイスト」や「フードロス」などをテーマにイベントや勉強会を開催してきた。
530weekの中村元気代表は今回のイベントについて、「そもそもごみを出さない文化や社会への変化を進めていくために、企業を巻き込み対話を加速していく場を渋谷からつくっていきたい」と狙いを話す。
イベントはトークセッションとワークショップに分かれ、トークセッションではリコーインダストリーや大川印刷、エアークロゼット、TABETE/コークッキング、アイカサなど計14社が登壇。製品の再生や回収、長寿命化やシェアリングといったテーマで取り組みを紹介した。
ワークショップでは、サントリーや花王、ワタミ、リコーなど計6社・ブランドによる循環型経済に向けた実践事例をもとに、社会課題の解決に向け参加者で議論を深めた。
テーブルごとに実践事例となる企業が割り振られ、企業担当者も交え参加者はテーブルを囲みながらアイディアを出し合った。
ワタミでは、宅食事業で利用する弁当容器をバイオプラスチック容器に変更するとともに、使用後の容器を回収して再資源化する取り組みを、5月7日から愛知県で始めている。ワークショップではこの取り組みに関連して、製造の際に出る食品ロスへの対策などについて議論を深めた。
参加者からは「大学の食堂や子ども食堂、企業の社員食堂など余った食品の出口を広げていく取り組みが重要では」「参加者が各々余った食品を持ち寄る『もったいないキッチンフェス』を製造工場の近くで開き、楽しく地域活性化に結びつける」などの意見が出され会場全体で共有された。
ワタミSDGs推進本部の福井聡部長は、「できるかできないかという発想にとらわれず、まず自由なアイディアを大事にすることがイノベーションを生む」と話した。
ワークショップのファシリテーターを務めたNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの坂野晶理事長(530weekメンバー)は、「循環型経済に向けたビジネスを広げていくために、新たなステークホルダーやパートナーが参加するオープンイノベーションの場が重要」と指摘した。
ワークショップに参加した加来順子さんは、「(自身の勤める)会社での取り組みのヒントになるかもしれないと思いイベントに参加した。ワークショップでの議論について、実現に向けもっと深掘りしたいと感じた」と話した。