年1回の恒例行事、お食事会で外食を楽しむ
2019.03.22 社会
「和民」大鳥居店は2月26日、就労継続支援B型事業所「はぎなか園」(東京・大田)から利用者19人と職員5人を招き、食事会を開いた。障がいの有無にかかわらず、外食を楽しんでほしいとの思いから、ワタミグループが20年間続けてきた取り組みだ。営業三部第4エリアの社員約20人も参加し、一緒に食事を楽しんだ。
「ポテトがおいしい。最高!」。揚げたてのフライドポテトが運ばれると、一斉に手が伸びる。テーブルには、シーザーサラダに唐揚げ、餃子と居酒屋の人気メニューが並ぶ。みんなにこにこ笑顔で食事を楽しんでいる。
「和民での『お食事会』は毎年人気の恒例行事。今年は誰が行くか、利用者も職員もみんな楽しみにしていました。利用者の皆さんには、お食事会に来ることを昨日伝えたばっかりなのです」(「はぎなか園」の手塚さん=右中央)
■いつもと違う一面を発見
「はぎなか園」は10年ほど前から、ワタミの食事会に参加している。家庭の状況にもよるが、障がいがある人たちは総じて外食の機会が多くないという。
「和民」大鳥居店の森榛那店長は、食事会には何度か参加したことがあるが、店長として主催するのは初めてだった。「個食が良いのか、シェアする形が良いのか。食べづらいものはないかなど、はぎなか園と相談しながらメニューを決めていきました」(森店長)。
当日用意したのは、デザートを含めて10品。ドリンクはタブレットを使って注文する形にした。コーラにジンジャエール、ウーロン茶、氷を入れる・入れないなど、それぞれが自由に頼んだ。
職員も「施設では決まった食事が出るので、こんなものが好きだったんだ、という新たな発見がある」とうれしそうだ。大きなお皿からみんなで分け合って食べる楽しさもある。
定番の居酒屋メニューはもちろん、意外に人気だったのは、刺身の盛り合わせ。普段、施設では生ものが出ることがないので、貴重だという。店舗の計らいで、グループホームで暮らす女性には特別にマグロの刺身が提供され、おいしそうにほおばった。
■ビンゴ大会で大盛り上がり
食事会には、営業三部第4エリアの他の店舗の社員約20人がボランティアとして参加。元気な声でお店を盛り上げた。
食事がひと段落すると、次はビンゴ大会。その表情は真剣そのもの。番号が呼ばれるたびに歓声があがる。当選者には、文房具やお菓子などが配られ、みんなうれしそうだ。
ワタミは1999年から、地域貢献の一環として障がいのある方たちを店舗に招待し、お食事会を開催。2018年度の実施回数は28回を数える。障がい者雇用にも力を入れており、現在、雇用率4.65%(在籍者数246人)と法定雇用率を大きく上回っている。これは、日本企業の中でもトップクラスの数値だ。
「はぎなか園」では、ワタミの新業態カタマリ肉ステーキ&サラダバー「にくスタ」の料理に飾る旗づくりや、DMの封入などの仕事も請け負っているという。手塚さんは「福祉施設への仕事の発注が少なくなってきているなかで、とても助かっている」と話す。過去にはワタミの店舗で働いていた利用者もいた。
ワタミは、「お食事会」を地域貢献として、サービスの原点であるホスピタリティを学べる場として、今後も続けていく。