フードロスを考える「シブヤもったいないマーケット」
2018.11.01 食
渋谷区清掃リサイクル課は10月13日(土)、食品廃棄物(フードロス)の現状を知ってもらうため、「シブヤもったいないマーケット」を開催した。世界人口の9人に1人が栄養不足といわれるなか、日本では年間646万トンもの食べられる食品が捨てられている。当日は、フードロスディスカッションやエコクッキングワークショップが開かれたほか、「和民」渋谷道玄坂店で、会場で余った食材を使ったスペシャルメニューを提供。フードロスを考える1日になった。
世界で廃棄されている食品は年間約13億トンにも上り、約3分の1の食品が捨てられている。国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)でも、2030年までにフードロスを半減することが目標に掲げられている。
シブヤもったいないマーケットで開かれた「フードロスディスカッション」には、元ユニーでワタミファーム&エナジー顧問の百瀬則子さん、「TGIフライデーズ」五反田店の清水幸子ゼネラルマネージャーらが登壇した。
「閉店間際にお店に行ったとき、商品が少なければお客様はがっかりしてしまう。そうすると過剰に商品を用意してしまう」。こう話すのは元ユニーの百瀬さんだ。「しかし、そのままではフードロスの問題は解決できない。お客様とコミュニケーションしながら解決策を探る必要がある」と続けた。
「TGIフライデーズ」では、持ち帰り用容器を用意し、余った食品を持ち帰れるようになっている。米国では持ち帰り用の容器を「ドギーバッグ」と呼び、だれでも日常的に使っている。
清水マネージャーは「まだ持ち帰り用容器の存在があまり知られていない。食べ残しがあれば声をかけるなど、お客様とのコミュニケーションを大事にして、持ち帰り用容器の利用を進めていきたい」と話した。
■ 規格外の野菜で鮮やかなサンドウィッチ
エコクッキングワークショップでは、自然派カフェ「みせるま」ディレクターのオオヤマタカコさんが講師となって、規格外野菜などを使ったサンドウィッチづくりを行った。ワタミファーム山武農場(千葉県山武市)からは落花生が提供された。
赤く鮮やかなビーツと落花生のペーストをパンに塗り、ケール、カブとカブの葉、紅芯大根などをはさんでいく。最後に入れるカキの甘さが味のアクセントになる。「作るのが楽しかった。普段使わない野菜だったので新鮮」と、参加した小学生の女の子は楽しそうに語った。
■ 新鮮野菜を「ひみつメニュー」に
「和民」渋谷道玄坂店では、ファーマーズマーケットで余った野菜を使った「ひみつメニュー」を1皿100円で提供。諏訪育俊ストアマネージャーは、「余った食材を生かすという話を聞いて、とても良いことだと思った。どんな野菜が来るか分からなかったが、おいしく仕上げたい」と意気込んだ。
集まったのは、空芯菜、ラディッシュ、白ナス、モロヘイヤ、赤玉ねぎ、大根の葉、ディル、スペアミント、レモンバームなど、新鮮な有機野菜。これらは、それぞれオニオンサラダや空芯菜炒めなど、おいしい料理に代わった。
ワタミグループとしても、フードロス問題を解決するため、自社工場(食品工場)で出た食品残さを土づくりセンター(千葉県山武市)で堆肥化する取り組みを続けている。