ワタミのダイバーシティ採用、期待を胸に特別支援学校の新卒14人が入社式
2018.04.12 社会
ワタミグループは4月1日、障がい者採用の入社式をワタミ本社(東京・大田)で開催した。今年は新卒14人が入社し、外食、手づくり厨房(製造工場)、ワタミファームに配属される。障がい者採用の入社式は今年が初めての開催となる。14人は緊張した面持ちで、期待を胸に入社式に参加した。
入社式が始まると、ワタミ株式会社の清水邦晃社長から一人ひとりに辞令が交付された。司会から名前が読み上げられ、一人ずつ壇上に向かい、辞令を受け取る。期待と不安が入り混じったような表情だ。
「中学のころから料理が好きでした。実習の際にTGIフライデーズのスタッフの方の笑顔が気持ち良く、ここで働きたいと思うようになりました」。TGIフライデーズ横浜西口店に勤務する林遥樹さんは、2018年度新卒代表として決意表明を行った。
「少しずつ調理をしたり、店の仕事をこなしたりできるようになりたい。将来的には自立して一人暮らしをすることも目標です。戦力になれるように努力していきたいです」(林さん)
ワタミグループは「働く意欲に応えたい」という思いから、障がいのある方を積極的に雇用している。現在、265名(2018年4月1日時点)の障がいのある方が働いており、2017年度の障がい者雇用率は法定雇用率を上回る4.06%を達成した。新卒の採用においては、春と秋の年2回、特別支援学校の生徒さん向けに現場での実習を行っている。
その際、親御様と先生を交えて職場において配慮すべきことをお聞きし、現場に活かすことで生徒が働きやすい職場環境を整えるよう配慮している。また、採用後は、密なコミュニケーションを心掛け、定期的に交流会も行う。
1年先輩で2017年度に入社した吉野直貴さんは、TGIフライデーズ品川店での勤務を続けている。
吉野さんは「いざ働いてみると、実習とは違うことを実感しました。ランチのピーク時にはスピードも求められます。新しいスタッフが入ると、自分からコミュニケーションを取らなければいけません。どちらも苦手な僕はお金を稼ぐ大変さを実感しました。そうしたなかでも、心がけていることは、何事もポジティブにとらえること。ポジティブに考えることで、プラスの方向に進んでいきます。これから一緒に頑張りましょう」と激励した。
■「自分らしく、思う存分チャレンジしてほしい」
清水社長は講話のなかで、「入社してくれてありがとうございます。私たちはたくさんの人に支えられています。感謝の気持ちを持って日々を過ごしてほしい。そして、皆さんには無限の可能性がある。それぞれ違うのは当然。自分らしく、思う存分チャレンジしてほしい。ワタミグループは、地球上で一番たくさんの『ありがとう』を集めることを目指しています。お客さま、仲間、まわりの人。『あなたがいてくれて良かった』と思われるような社会人になってほしい」と期待を寄せた。
続けて、「体だけは大切にしてほしい。命より大切なものはありません。悩んだり、迷ったりしたら、まわりの人に相談してほしい。会社も大切な皆さんをお預かりした責任を果たしていきたい。ともに頑張りましょう」とエールを送った。
入社式を終えると、「エレーナパスタ」大鳥居店で、新卒メンバー、保護者、特別支援学校の教員、ワタミ社員らを交えた昼食懇親会が開かれた。保護者からは「心配だけど、いよいよ社会人として働けることになったのは嬉しい」「仕事に慣れたら、働いている店舗に遊びに行ってみたい」といった声が聞かれた。
午後からは新卒研修として、ワタミグループの事業を学んだり、保護者への感謝の手紙を書いたり、ワタミメンバーズアライアンス(労働組合)の説明を受けたりした。
ワタミファーム・山武農場で働く武内さんは「小さいころから畑仕事が好きで、野菜を育てていました。ワタミファームの実習では大変さと喜びを学びました」と話す。「まだ緊張しているが、明日から頑張れそう」と笑顔で語った。