夢アワードグランプリの栄養士が石坂産業で健康カウンセリング

2018.02.19 食

ワタミが特別協賛する日本一の夢の祭典「みんなの夢AWARD7」(2017年)でグランプリを受賞した、管理栄養士でワタミ(株)宅食事業部健康長寿科学栄養研究所所長の麻植(おえ)有希子は、廃棄物処理業を行う石坂産業様(埼玉県三芳町)で健康カウンセリングを実施。一人ひとりの生活スタイルに寄り添った食生活のアドバイスなどを行っている。背景には石坂典子社長の「従業員が健康でなければ、良い仕事はできない」という考えがあった。

これまで健康問題は個人の責任とされてきたが、最近では「働き方改革」や「健康経営」が注目され、従業員の健康に配慮することで、経営上のメリットがあると考える企業が増えてきた。

麻植は「みんなの夢AWARD7」で、「健康寿命を5歳延ばし、介護費を削減したい」という夢を語り、グランプリとソーシャルビジネス賞をダブル受賞した。筋肉が100グラム増えれば、介護費は25万円削減できるという研究報告もある。

「みんなの夢AWARD」の協賛企業である石坂産業様は、麻植の思いに共感し、「従業員の健康カウンセリング」「健康弁当の監修」「石坂ファームで育てた農作物の栄養分析」の3つを依頼することになった。

■生活スタイルは変えず、ちょっとした工夫を

一人ひとりに食生活や生活改善のアドバイスを行う健康長寿科学栄養研究所所長の麻植有希子

一人ひとりに食生活や生活改善のアドバイスを行う健康長寿科学栄養研究所所長の麻植有希子

1月22日、石坂産業様で2回目の従業員向け健康カウンセリングが実施された。健康診断の結果から、生活改善のアドバイスが必要のある社員10人が、カウンセリングの対象だ。12月から5カ月間のプログラムで、月に1回、血圧や体重、内臓脂肪レベルなどを測定する。その後、一人ひとりに食生活や運動などのアドバイスを行い、一緒に一カ月間の目標を決める。

麻植は、生活や食習慣を大きく変えるのではなく、ちょっとした工夫を提案する。例えば、一週間のうち2日は、肉を魚に変えてみる。毎日味噌汁に、乾燥わかめをひとつまみ入れる――などだ。

参加者の話に耳を傾けながら「朝起きて、バナナをそのまま食べると血糖値が急に上がってしまう。できるだけヨーグルトと一緒に食べた方が良い」「働き盛りなので食べる量は減らさなくて良い。食べるものを少しずつ変えるだけで十分」など、きめ細やかなアドバイスを行う。

参加した男性社員は「健康診断の結果を受けて、何かしなければと思っていたところだった。生活スタイルを見直す良い機会になった」と好意的だ。少しずつ結果が出ていることに対し、嬉しそうに話してくれる。

■地球と従業員の健康を実現する

石坂産業様は、「産業廃棄物を資源に変える」を掲げ、産業廃棄物の減量化・再資源化98%を達成した。里山の環境学習フィールド「三富今昔村」を隣接するなど、「自然と共生する暮らし」を地域に広げている。

同社は2016年9月から「働き方改革」に取り組んでいるという。熊谷豊執行役員は「従業員の家族の幸せとは何か。そう考えたとき、従業員の健康が一番だと思った。肉体的にも精神的にも健康でなければ、本人も幸せでないし、良い仕事はできない」と石坂社長の強い思いを説明する。

時短など、当初は労働時間の削減を進めてきたが、「健康」の大切さを再認識し、健康長寿科学栄養研究所とのコラボレーションが実現した。「『健康診断の結果を提出して終わり』ではなく、本当に従業員が健康になるための施策を進めていきたい」(熊谷執行役員)。

石坂産業様が提供する健康弁当

石坂産業様が提供する健康弁当

石坂産業様は見学に来られるお客様向けの旬の野菜をふんだんに使った「三冨弁当」を販売している。これから販売する春メニューは健康長寿科学栄養研究所が監修を進めている。

さらに、健康長寿科学栄養研究所は、自社農園「石坂ファーム」で採れた農作物の栄養分析も行う。石坂ファームでは、在来種にこだわり、約100種の野菜を栽培。武蔵野の地で江戸時代から320年以上にわたって続けられてきた、落ち葉を使った三富新田の「有機堆肥農法」に取り組む。

伝統的な三富新田の「有機堆肥農法」で栽培する石坂ファーム。地域の方などと収穫体験なども行う

伝統的な三富新田の「有機堆肥農法」で栽培する石坂ファーム。地域の方などと収穫体験なども行う

落葉堆肥を利用した三富地域特有の土壌の特徴や効能を、栽培された農作物を栄養学的側面から調査分析することで、同社が別に研究している土壌微生物の活性値と融合し、落葉堆肥農法の付加価値を創出する。将来的に新たな6次産業化商品として、「三富野菜ブランド」を全国に広げていくことを目指す。

熊谷執行役員は「循環型社会を実現し、将来世代に向けて、美しい里山や地球環境を残していきたい」と力を込めた。


社会との関わりや、人や社会、地球を元気にする取り組みなどを紹介します。