コンゴのNPO、ワタミファームで有機農業を学ぶ

2017.12.20 農

コンゴ民主共和国の環境NPO・CONSOL(以下コンソル)は12月11-14 日、ワタミファームや土づくりセンターなどを視察した。コンソルは環境・農業問題を解決しながらビジネスを生み出すことを目指し、慶応大学と地域づくりの共同研究プロジェクトを行っている。その一環で来日したコンソルは、有機農業や栽培方法、流通の仕組み、資源循環の仕組みなどを学んだ。

コンソルのアリさん(左から2番目)とセリーヌさん(右端)。慶応大学総合政策学部の学生とニンジン収穫を体験した

慶応大学総合政策学部の学生とワタミファームを訪れたコンソルのアリさん(左から2番目)とセリーヌさん(右端)

コンゴの人口は7000万人、国土は日本の6倍もの面積がある。コバルトや銅といった鉱物資源が豊富な一方で、深刻な食糧不足や栄養不良の問題を抱えている。コンソルは、コンゴの持続可能な発展に寄与するために、11月18日から約1カ月間日本に滞在し、農業やリサイクルシステムなどを学んだ。

12月11日はワタミの森(千葉県山武市)と土づくりセンターを視察。森林の価値やバイオマスの利活用について学んだほか、土づくりセンターで、ワタミグループの食品製造工場から毎日3トン排出される食品残さをどのようにたい肥化しているかなどについて説明を受けた。

12月12日は、ワタミファームで実際に農作業を体験。一面に広がる畑から有機栽培されたニンジンを掘り起こす。耕運機の後に続いて、1時間で約600キログラムのニンジンを収穫していった。

収穫しやすいように、あらかじめ耕運機でニンジンを掘り起こしておく

収穫しやすいように、あらかじめ耕運機でニンジンを掘り起こしておく

コンソルは首都キンシャサに50ヘクタール(東京ドーム約10個分)の農地を持ち、ピーナツや野菜、果物などを栽培している。コンソルの代表・アリさんは「適地適作を行うために、種をまく時期や間隔、種類などを変えながら、効率的な栽培方法を模索している」と話す。

さらに現地では、ソバも栽培している。コンゴでは、キャッサバイモ(タピオカの原料)が主食だが、食材の選択肢が少なく、栄養が炭水化物に偏っているという。そこで、タンパク質が豊富で栄養価が高いソバを育て、ソバ粉をキャッサバに少し混ぜ、現地の人にとって抵抗のない食べ方を提案している。

ワタミファームの岡田拓也農場長は「特に有機農業は、気候と土壌がすべてを決めるといってもいい。ソバは乾燥地域での栽培に適しているので、コンゴでも十分うまく可能性はあるのでは」と期待を込める。

ニンジンを長持ちさせるため、収穫後、葉と根を包丁で切り取る

ニンジンを長持ちさせるため、収穫後、葉と根を包丁で切り取る

アリさんは、「コンゴは飢えに苦しんでいる貧しい人が多い。農家も小規模な家族農家がほとんど。農薬が高いので、有機栽培の可能性を探っている」と説明。セリーヌさんは「農業で雇用をつくり、持続可能なビジネスにし、貧困や教育の問題も解決していきた。生産した農産物をどのように加工して流通させるか、食品ロスをどのように循環させるか。ワタミのフードシステム全体が参考になった」と続ける。

コンゴは「紛争鉱物」や難民・避難民問題など、深刻な課題を抱えているが、持続可能な発展を目指すコンソルの挑戦は続く。


社会との関わりや、人や社会、地球を元気にする取り組みなどを紹介します。