子どもたちが仕事体験、「ちゃぶまる」大鳥居店で
2017.06.19 社会
ワタミは6月3日、株式会社D&I東京・港)の協力のもと、仕事体験「TERAJOB(テラジョブ)」を「ちゃぶまる」大鳥居店で実施した。テラジョブは、障がいを持つ子どもたちを対象にした仕事体験で、D&Iが4月に開講した。中学生1人、高校生4人が参加し、飲食業の仕事を体験した。
まず取り組んだのは、飲食業の基本である身だしなみの確認と手洗いだ。エプロン、マスク、三角巾を着け、身だしなみを整えた後、手洗いを行った。20秒のタイマーをかけ、手の平、手の甲、指の間、手首、爪まで、丁寧に洗う。
次はテーブルセッティング。調味料などを動かしながら、拭き残しがないように、テーブルの端から端まで丁寧に拭き、側面も忘れないようにする。食事のメニューも一枚一枚めくりながら、丁寧に拭いていく。メニューはテーブルに立たせ、開いたまま乾かす。最後にイスを拭いたら完了だ。
「テーブル、メニュー、イス。テーブルを拭く順番を覚えましたか」
「何をしたら良いか、分からなければ聞いてください」
「終わったら報告してくださいね」
テラジョブの先生たちは子どもたちに声をかける。先生たちはすぐに手を貸すのではなく、あくまで「仕事体験」として、自分の力で業務を遂行させるように導いていく。
テーブルセッティングが完了したら、次は小鉢の盛り付け。ひじき、豆の甘煮、漬物それぞれを豆皿に盛り付けた。ひじきは20グラム、漬物は10グラム、計量機で計りながら、慎重に盛り付ける。豆の甘煮は5粒ずつ、1個1個数えていく。
■初めて親に配膳も
盛り付けができたら配膳だ。子どもたちは保護者や先生らに、からあげ定食を配膳。少し照れくさそうだが、子どもたちも楽しそうだ。保護者は普段見ることのない、子どもたちが働く姿を嬉しそうに見ていた。
「先生の言うことを聞けているのか、みんなとうまくコミュニケーションが取れているのか不安だった」 「家での様子と違う姿を見られて新鮮。こういう機会があればどんどん参加したい」
参加した保護者らは話す。ワタミは「障がいの有無にかかわらず、誰もがいきいき働くことができる社会の実現」を目指し、障がい者雇用に力を入れている。2016年は244人を雇用し、雇用率3.96%を達成した。だが一方で、障がい者にとってまだまだ就職が難しい現状がある。
保護者から「採用の基準は何か」「自分たちの子どもでも働けるのか」といった質問が挙がると、障がい者雇用を担当していたワタミ社長室広報部の杉山康之は、「障がいが軽くてもできない仕事もあり、障がいが重くてもできる仕事がある。障がいの特性や程度というよりも、やってみなければ分からないことが多い。働きたいという意欲があれば、働く機会を提供していきたい」と説明した。