「グリーンウェイブ」に賛同し、ワタミ社員が山武市で植樹

2017.05.30 自然

生物多様性条約事務局は、国連が定める国際生物多様性の日である5月22日に、学校や地域などで植樹などを行う「グリーンウェイブ」への参加を呼びかけている。そこで、国連生物多様性の10年日本委員会、国土緑化推進機構、Save Earth Foundation(SEF/東京・大田)の3者は5月27日、千葉県山武市にある日向の森で「グリーンウェイブ2017」記念植樹会を開催。ワタミ社員とその家族らが植樹を行った。

生物多様性が豊かな日向の森

生物多様性が豊かな日向の森

「田んぼがきれい!」。日向の森に向かう小学4年生の男児(9)は、初めて田んぼを見たという。長い坂道を歩きながら「山道が楽しい」と笑う。

日向の森がある山武市は、千葉県東部に位置し、九十九里浜に面する自然豊かな地域だ。コメやイチゴの栽培などの農業も盛んだ。

山武地域は良質な木材として有名な「サンブスギ」の産地で、木材の供給地として栄えていた。だが、外国産材の普及による木材価格の低下や、非赤枯性溝腐病という病気が蔓延したことで、林業が徐々に衰退してしまったという。

そこでSEFは2012年、山武市と「日向の森」の保全活動に関する協定を締結し、10ヘクタールの森林再生活動を行っている。月に2回、ボランティアを募集し、森の手入れを行う。

■「国連生物多様性の10年」は残り3年

植樹会の開会式で、環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性施策推進室の西山理行室長は、「2011年から2020年は『国連生物多様性の10年』。残り3年となった2017年から、生物多様性保全の取り組みを強化していきたい」と挨拶した。

山武市の椎名千収市長は、「森の手入れは大変で、サンブスギの病気の問題もある。地元だけでは手が回らない。SEFやワタミなど、外部の力は大きい。日本の豊かな自然を取り戻し、外国人観光客からも称賛される緑にしていきたい」と意気込みを語る。

ササの根を断ち切りながら、ヤマザクラの苗木を植樹

ササの根を断ち切りながら、ヤマザクラの苗木を植樹した

「グリーンウェイブ2017」記念植樹会には、ワタミ社員とその家族25人のほか、千葉県森林組合の職員や地元の木材関連事業者などが参加。ヤマザクラ20本、スギ100本を植樹した。

まず、植穴周辺の落ち葉、雑草を取り除き、30センチメートルほどの穴を掘る。底を耕したら、苗木を入れる。空気が入らないように土を入れ、押し固める。最後に、落ち葉や雑草で土が乾燥しないように表面を覆ったら完了だ。

参加した子どもたちからは、「ササの根がたくさん張っていて、土を掘るのが大変」「樹を植えた達成感がある」といった声が聞かれた。

SEFの福井聡理事・事務局長は「日向の森はスギの人工林ながら、生物多様性が豊かで、希少種もひっそりと生きている。春夏秋冬、それぞれの魅力があり、違った体験ができる。楽しみながら森について学んでほしい」と話した。

お昼には窯焼きのピザがふるまわれた

お昼には窯焼きのピザがふるまわれた

今回、ワタミの社員・パート社員向けに植樹ツアーを企画した労働組合ワタミメンバーアライアンスの亀本伸彦中央執行委員長は、「森に入るきっかけづくりができて、みんなに楽しんでもらえて良かった。これからも従業員が楽しめるイベントを企画していきたい」と語った。

ワタミ社員とその家族らは、日向の森で植樹活動を楽しんだ

ワタミ社員とその家族らは、日向の森で植樹活動を楽しんだ


社会との関わりや、人や社会、地球を元気にする取り組みなどを紹介します。